The Catcher in the Lie

僕は食品業界なんてものにはあまり興味が無いんだ、本当の話。

でもこの忌々しい就職活動では、実際の興味なんて意味を成さない。オーケー？

そもそも大学生の興味なんて、セックスがどうとかお酒がどうだなんて低俗なものなんだ。

そういった話を聞くと本当に反吐が出そうになるんだよ僕は。何しろ、とびきり低俗なんだから。

それに、もしも、本当にもしもの話だけれど、例えば実際に英文学に興味があるなんていう、

貴重な化石学生がいたとして、それがジョブ・ハントに役に立つと思う？そこんところ、わかってる？


とにかく、僕は吐きそうになる気持ちを抑えながら、

Gリコというお菓子会社にエントリーしようと思ったんだ。

この会社はある意味クレイジーなんだよ、大きな電飾看板が観光名所になっちゃうんだから。

僕はとりあえず、この１粒300メートルの会社について検索してみようと思いついたんだ。

エントリーシートの内容が 「”Gリコ”に対する”提案”を、A4一枚にまとめてください」だからね。


なんにしても、基本データってのは人生において本当に必要なものなんだよ。

だから、僕は「Gリコ」で検索してみたんだ。「J.D.サリンジャー」と検索するような軽い気持ちでね。

そしたら、お利口な予測検索君が、「Gリコ　提案」 なんて表示してるじゃないか。

やれやれ、これにはさすがに参ったよ。

君たち、わかってる？

優秀な予測検索君が「Gリコ　提案」と表示するということは、

僕や君たちの一部みたいな、とびきりインチキくさい就活生って人種が、

きっと何人か（もしくは何十人か）、すでに検索してるってことじゃないか。

まったく、反吐でも吐いちまうような話だよ。そこんところ、わかってる、君たち？

すべて検索に任せてしまうということは、何もしないことと同じなんだ。

想像してみてよ、原文も、野崎訳も村上訳も読まずに、

「ライ麦畑でつかまえて　要約」とか、「ホールデン　結末」なんて検索したところで、

一体全体、何が得られるっていうんだい？本当の話。　


とにかく、就職活動ってのは、それくらいのゴミ溜めの中で活動するってことなんだ。

どれだけゲロを吐いちまうような状況でも続けるしかないんだよ、まったく。

しかも、Gリコの締め切りが月曜日だからね。

そんな中、こんなセックスよりもずっと低俗なブログを書いているんだ。

やれやれ、そこんところ、わかってる？


ピース。